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会社経営はドラクエだ。でも勇者が魔王だった。ブラック企業はクソゲーだ

電動工具屋時代


会社経営はドラクエだ。


漆黒企業社長はよくそう言っていた。

その言葉を聞いたとき、私は少しだけ安心した。
この会社は、やっぱり普通じゃないと思えたからだ。

場所は会議室だった。
真面目な会議の場で、唐突にその話が始まった。

社長という勇者がいて、
営業という戦士がいて、
事務という僧侶がいて、
経理という魔法使いがいる。


主人公である社長を中心に仲間を集め、
売上を伸ばすという名の魔王を倒しに行く。

話しながら社長は満足そうだった。


私は隣の人間をちらりと見た。
隣も私を見た。
どちらも何も言わなかった。

会議室にいた全員が、
似たような顔をしていたと思う。
同意でも否定でもない、
リアクションの着地点を見失った顔だ。

実にユニークな例えだとは思った。
普通の会社なら、案外当てはまるのかもしれない。


だが元社畜にはよくわからなかった。


だって、普通を知らないから笑


協力して敵を倒す、というのがRPGの基本だ。

うちのパーティにも一応、
その概念はあったらしい笑


ただし攻撃対象が違ったし、
そもそもパーティーが安定していなかった。


メンバーの入れ替わりが激しすぎた。
仲間が揃う前に誰かがいなくなる。
補充される前にまた誰かがいなくなる。

そのくり返しだった。

協力という文字が生まれる余地すらなかった。


勇者のスキル構成はこうだ。

・投擲(物理) ― 手近にある物体を戦士に向けて投げる
・蹴撃(物理) ― 対象に向かって蹴りを入れる
・口撃(特殊) ― メンタルに直接ダメージを与える。会心の一撃が出やすい


物理攻撃については以前にも書いた笑


今回は口撃について触れておきたい。

社長の口撃には、いくつかの定番がある。

採用の話になると必ずこう言った。

漆黒企業社長
漆黒企業社長

うちは新卒はいらん。育てるのがめんどくさい。

実際、教育は現場任せだった。
社長自身が誰かを教えている場面を、私は一度も見たことがない。
めんどくさい、と言い切れるのは、最初からそのつもりだからだろう。

では中途採用はどうかというと、これも手放しで歓迎しているわけではなかった。

漆黒企業社長
漆黒企業社長

他で仕事ができなかったやつを拾ってやった。
いわば、中古品。


転職回数が多い人間については、
離婚になぞらえて話すことがあった。
×がついている、という言い方もした。

拾ってやった相手に向かって、
あるいはその場にいる全員に向かって、
平然と言ってのける。

しかもこれは社内だけの話ではなかった。

飲み会の席でも、
取引先の前でも、
同じことを言った。

その場にいた誰もが、同じ顔をしていた。

着地点を見失った顔だ。
出した答えは
皆、苦笑い。

口撃の厄介なところは、
物理攻撃と違って記録に残らないことだ。

痣にもならない。

だが確実に何かを削っていく。

じわじわと、
長期間かけて…

まさにRPGの毒の状態異常と同じである笑


魔王は外にいると思っていた。

だが違った。



“協力”はできなかった。

勇者の仮面を被った“強力”な魔王が、
ずっと隣にいた。

だからパーティーは崩壊し続けた。

魔王を倒しに行く前に、
勇者に削られるのだから…



ブラック企業は


クソゲーだ。


クソゲーはリセットボタンを押しましょう↓笑


ちなみに元社畜ゲーム大好きです笑


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