レジの内側に、
なぜか野球の木製バットが立てかけてありました。
勤務先は工具屋です。
バットは売っていない笑
防犯用だろうと思うことにしました。
とはいえ、
バットで強盗を追い払う光景は、
あまり現実的でなくむしろ滑稽な絵面
物騒なような、
頼りないような。
どちらとも言えなかったので、
気にしないことにしていました。
ある日、割と機嫌がよさそうなタイミングで
何気なく社長に聞いてみることに…

前から気になっていたんですが
なんでバットがあるんですか?
社長は、特に表情を変えずに答えた。

昔、それで従業員をどついたことがある。
いや、むしろ表情はちょっと
嬉しそうにも見えた…
反対に
元社畜の顔は
ちょっとくもった。
防犯用ではなかった。
それ以上は何も聞かなかった。
聞けなかったというより、
聞く必要がなかった。
用途は分かった。
レジの中にある理由も、
なんとなく理解できました笑
それからも、
バットはずっとそこにあった。
使われることもなく、
ただ立てかけられているだけだった。
来店する客が
気にする様子もない。
この店では、
それが普通だった。
私も、いつしか慣れていた。
問題の日は、
発注絡みのトラブルだった。
お客さまからの注文を受けて
会長夫人が発注した商品が届いていません。
(※会長夫人=社長のお母さん)
この会社では
もはや恒例行事ではある笑
した、していないの水掛け論になっていました。
最初は社長とお客様のやりとりだったが、
途中から会長夫人が割って入ってきた。
これも、この店では珍しくない光景だった。
だが、その日は少し違った。
お客様が帰られた後に
話の矛先が、客から親子へと移った。
対応の仕方を巡って、言い争いが始まった。
声が、徐々に大きくなっていく。
私は商品棚越しにそれを見ていた。
近づかない方がいい。
そう判断しました。
ああいう場に入っても、
状況は良くならない。
それはもう、ウンザリするほど分かっています。
言い争いがしばらく続いたあとだった。
社長が、バットを手に取った。
一瞬だけ、間があって。
振りかぶり、
壁を叩いた。
ガン…。
乾いた音が、
店内に響いた。
人に向けたわけではない。
ただの壁への一撃だった。
それでも、
コッソリ覗いていた
元社畜含めて
その場にいた全員が止まった。
会長夫人が黙った。
私も、何も言えなかった。
むしろ、息をより殺した。
社長は、何事もなかったかのようにバットを元の場所に戻した。
後から考えれば、
あれは威嚇だったのだと思う。
誰も殴っていないし、
何も壊していない。
ただ、それで十分だった。
場は、それで制圧されていた。
普通だとは思わない。
ただ、その日で理解した。
レジの中にバットが置いてある理由を。
防犯用ではない。
説明のための道具でもない。
必要な時に、
使うためにそこにある。
バットはその後も、
ずっとレジの内側に立てかけてあった。
使われない日が続くことを、
祈るしかできませんでした。
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